令和3年度教育行政執行方針
令和3年3月2日に開催された令和3年第1回幕別町議会定例会において、菅野勇次教育長が述べた令和3年度教育行政執行方針の全文を掲載します。
はじめに
令和3年第1回町議会定例会の開会に当たり、本年度の教育行政執行方針について申し上げます。
近年の急速な高齢化、人口減少、少子化、情報化、国際化等の予想を超える社会変化やグローバル化が一層進化し、Society(ソサエティ)5.0の超スマート社会の到来を見据える中で、教育の果たす役割は極めて重要であります。
加えて、1年を超えてなお、新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、社会経済情勢が大きく変化し、教育分野においてもGIGAスクール構想の実現や少人数学級の推進など、変革の時を迎えております。
こうした背景の中、子供たちが急激に変化する社会を生き抜くために必要な資質・能力を身に付けられるよう、学校・家庭・地域の連携と協力の下で、教育行政の推進に努めてまいります。
また、町民の皆さんが生涯にわたって、心豊かに健康に暮らしていけるよう、芸術・文化・スポーツの活動を通して、様々な学習機会の提供と学習活動を支援してまいります。
以下、「第6期幕別町総合計画」基本計画第4章「豊かな学びと文化、スポーツで住まいる」の各節と第1章「協働と交流で住まいる」第3節について、本年度の主な施策について申し上げます。
1 豊かな人生を育む生涯学習の推進
はじめに、「豊かな人生を育む生涯学習の推進」についてであります。
町民の健康で潤いのある生活と豊かで活力ある地域づくりの推進のためには、町民一人ひとりが生涯を通じて自ら学ぶとともに、その成果を生かすことのできる環境をつくることが重要であり、生涯学習は心にゆとりや潤いを与え、学んだことを生かすことで、人づくりや活力ある地域づくりに大きな成果をもたらします。
このため、引き続き、百年記念ホールや町民会館、忠類コミュニティセンター、図書館など生涯学習施設等の活用を図り、「いつでも、どこでも、だれでも」学ぶことができる生涯学習施策を展開するほか、学習情報の効果的な発信や生涯学習講座等の充実に取り組み、幅広い世代の町民に生涯にわたる学習活動の場を提供してまいります。
図書館では、平成29年度から実施しております、「図書館を核とした地域づくり」に引き続き取り組むとともに、図書館本館屋上の防水改修工事や図書館システムの更新により「知の拠点」としての機能強化と、より快適な読書環境づくりの推進に努めてまいります。
2 「生きる力」を育む学校教育の推進
二つ目は、「「生きる力」を育む学校教育の推進」についてであります。
変化の激しい社会の中で、子供一人ひとりが創造性豊かに、たくましく生きていくためには、自律心や協調性、思いやる心などの豊かな人間性、問題を解決する資質や能力、そして健康、体力など「生きる力」を育むことが重要であります。
はじめに、「学校教育の主な施策」について申し上げます。
小中一貫教育の推進
「小中一貫教育の推進」については、3年目を迎え本年度、小中一貫カリキュラム編成を具体化し、小中学校の接続を生かした学力分析と学園単位での授業改善、カリキュラムマネジメントによる小学校高学年の専科制導入や小学校への乗入授業の充実を図るとともに、小学生の中学校登校や小中合同による各種取組についても引き続き実施し、小学生の中学校進学への不安解消や小中学校間の指導方法の連携につなげてまいります。
いじめや不登校の対応
次に、「いじめや不登校の対応」であります。
いじめや不登校への対応につきましては、いじめの積極的な認知と組織的な対応や、不登校の初期段階からの組織的・計画的な支援を進め、未然防止・早期対応に努めてまいります。
併せて、「子どもカウンセラー」や「スクールカウンセラー」、「スクールソーシャルワーカー」の活用をはじめ、「まっく・ざ・まっく」の利用を勧めるなど、児童生徒に寄り添った対応を行ってまいります。
学校教育の充実
次に、「学校教育の充実」についてであります。
小学校においては、これまで国際交流員2名に加えて臨時英語指導助手1名を配置し、小学校3、4年生の外国語活動及び5、6年生の外国語授業の総時数に対し約3分の2に当たる時数をサポートしてまいりました。
本年度からは、小学校における外国語活動と外国語授業、全ての授業にサポートを拡充し、子供たちのコミュニケーション能力の基礎となる資質・能力を育成しながら中学校への円滑な接続を図ってまいります。
また、GIGAスクール構想の実現に向け、1人1台のタブレット型端末や無線LAN、デジタル教材などを活用し、「主体的・対話的で深い学び」の一層の推進を図るとともに、教員への研修機会の提供などICTの効率的な活用を進めてまいります。
このほか、昨年度、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため実施できませんでしたが、本年度、改めて小学校、中学校の各1校において、劇作家で演出家であります町友の平田オリザ氏を講師として招き、授業の中で演劇手法を用いたワークショップを実施し、児童生徒がテーマに沿い問題解決策を導き出す過程を学ぶことでコミュニケーション能力の向上につなげてまいります。
また、「観光教育」として、町内中学校1校の修学旅行で訪問予定の函館市内において、幕別町観光物産協会のご協力をいただきながら、買い物等で訪れる方に地元の農産物と観光パンフレット等を配布するなど、町の魅力をPRする取組を計画しており、生徒たちが町の魅力を再認識し、公共の場におけるマナーや公衆道徳を身に付けることができるよう、町部局と連携しながら進めてまいります。
学校給食
次に、「学校給食」についてであります。
学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資するとともに、食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たしているところであります。
しかしながら、近年、給食材料費の高騰が続き、収支の均衡を保つことが極めて厳しい状況にあることから、幕別町学校給食センター運営委員会からの答申に基づき、本年度から学校給食費を改定することといたしました。
改定に当たっては、子育て世代の大幅な負担増とならないよう、町の支援を実施するとともに、今後も地場産食材を活用した「まくべつの恵み給食」の創意工夫に努めるなど、栄養バランスのとれたおいしい給食を提供してまいります。
教育施設の整備
次に、「教育施設の整備」についてであります。
老朽化が進んだ学校施設の改修は、昨年度策定した「幕別町学校施設の長寿命化計画」に基づき進めてまいりますが、本年度は、札内南小学校の校舎及び屋内運動場の長寿命化改修工事に向けた設計を実施してまいります。
高等学校への支援
次に、「高等学校への支援」についてであります。
「幕別清陵高等学校」につきましては、本年度で3学年が揃うことになりますが、本町の特色を生かした魅力ある教育活動をはじめ、社会に開かれた学校づくりが展開できるよう、文理探究、福祉、ビジネス、スポーツ&ヘルスの四つのコース、さらには文化・体育活動等に対する支援を引き続き行い、地域への誇りと愛着を持ち、地域の未来を担う人材を育む高校となるよう努めてまいります。
本年度につきましては、これまでの支援に加え、東京大学教授による出前授業や学生との交流を通して、学習に対する考え方や自主的・主体的な生徒会活動、地域貢献について学ぶことができるよう支援をしてまいります。
また、生徒の「特定非営利活動法人幕別札内スポーツクラブ」への加入に係る年会費の一部を助成し、同スポーツクラブとの連携強化を図り、授業をはじめ幅広いスポーツ・文化活動が展開できるよう支援してまいります。
信頼される学校づくりの推進
次に、「信頼される学校づくりの推進」についてであります。
コミュニティ・スクールについては、目指す児童生徒の姿の共有に向け、学校運営協議会における活動内容に関する情報を積極的に発信するとともに、情報収集の促進と地域学校協働本部の設置を視野に入れた、地域の有為人材や教育資源の掘り起しを通して、地域とともにある学校づくりを進めてまいります。
学校における働き方改革につきましては、教員が児童生徒と向き合うための時間を確保するため、引き続き学校事務補助員を小学校7校、中学校4校に1名ずつ配置するとともに、特別な配慮を必要とする児童生徒の学習や学校生活を支援するため小学校7校に37名、中学校3校に7名の特別支援教育支援員を配置いたします。
また、昨年6月から全ての小中学校で勤務管理システムの運用を開始し、教職員の在校等時間を管理しており、今後も業務の平準化や時間外在校等時間の縮減に努めるとともに、1年間の勤務実態を把握した上で、1年単位の変形労働時間制の導入に向けて検討してまいります。
3 青少年の健全育成の推進
三つ目は、「青少年の健全育成の推進」についてであります。
次代を担う青少年が豊かな人間性を育み、自他ともにかけがえのない存在であることを認識するとともに、社会の一員として自覚し、自ら進んで社会参加ができる健全な社会人として成長するよう、家庭・学校・地域などが連携して青少年の健全育成を推進することが必要であります。
このため、郷土の歴史や自然体験など幅広い学習機会を通して、心身の健全な育成を図りふるさとを愛する心を持った豊かな人間性を育むため、引き続き「ふるさと館ジュニアスクール」や「学び隊」などを実施してまいります。
また、家庭、地域、関係機関の連携を図り、子供たちを守り育てていく活動を推進し、幕別町PTA連合会や幕別町児童生徒健全育成推進委員会のほか、子ども会などの取組に対する支援を通して、未来にはばたく青少年が健やかに育つ環境づくりを推進してまいります。
4 芸術・文化活動の振興
四つ目は、「芸術・文化活動の振興」についてであります。
音楽や美術、演劇などの芸術文化は、観る者に感動や生きる喜びをもたらし心豊かな生活に欠かすことのできないものであり、その果たす役割は極めて重要であります。
このため、「百年記念ホール」の指定管理者であります「特定非営利活動法人まくべつ町民芸術劇場」と協働・連携を図り、コロナ対策を講じた上で優れた芸術文化の鑑賞機会を提供するとともに、施設の老朽化対策として本年度は、陶芸窯2基の改修工事を実施いたします。
5 歴史的文化の保存・伝承
五つ目は、「歴史的文化の保存・伝承」についてであります。
本町の歴史的・文化的資源である郷土文化資料と、その情報を町民共有の財産として次世代に引き継ぐため、収集・保存事業とともに、特に次代を担う子供たちが郷土文化資料を通して、身近に先人の苦労や豊かな知識に触れ、ふるさとへの新たな思いを養い、幕別町への愛着と誇りを育む事業の展開が重要であります。
このため、本町の歴史的資料やアイヌ文化資料を収集、保存、展示しているふるさと館や蝦夷文化考古館のほか、世界的にも貴重な資料を展示しているナウマン象記念館のそれぞれの特長を生かし、郷土の歴史や文化等を学習する場としての活用を図ってまいります。
また、本年度から新たに学芸員を配置し、2年にわたり実施いたしました足跡化石の発掘調査を引き続き実施するとともに、蝦夷文化考古館等の早期整備に向け、町部局と連携を図りながら関係団体と協議を重ね、アイヌ政策推進地域計画を策定してまいります。
6 健康づくりとスポーツ活動の振興
六つ目は、「健康づくりとスポ-ツ活動の振興」についてであります。
本町のスポーツ施設は、札内スポーツセンターや農業者トレーニングセンターなどの屋内施設と陸上競技場や野球場のほか、パークゴルフ場などの屋外施設を設置しており、多くの町民の方が体力づくりや健康維持のため利用されております。
本年2月に策定した「第1期幕別町スポーツ推進計画」を推進していくため、関係機関等と協力・連携を図り、オリンピアンとのふれあいイベントやパラスポーツ実践事業のほか、大学のスポーツ合宿誘致事業などを実施し、スポーツ振興に取り組んでまいります。
さらに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会、来年2月には北京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることから、町のホームページやSNSを活用し、本町出身のオリンピアンの動向や大会スケジュール等を広く発信するなど、多くの町民の皆さんとともにオリンピアンを応援する機運を醸成してまいります。
7 国内交流や国際交流の推進
最後に、「国内交流や国際交流の推進」についてであります。
国内交流につきましては、次世代を担う人材を育成するため、埼玉県上尾市、神奈川県開成町及び高知県中土佐町と小学生の派遣・受入れの相互交流を毎年実施しております。
昨年度は、コロナ禍の影響を受け中止いたしましたが、交流する1市2町と協議の上、本年度は、開成町と中土佐町からの受入れを実施することに加え、本町からも中土佐町に小学6年生15名を派遣するよう準備を進めてまいります。
また、本年度も国際的視野を広め将来国際社会に貢献できる人材を育てることを目的として、中学2年生16名、幕別清陵高等学校1年生3名、合わせて19名を対象にオーストラリアのキャンベラ市との相互交流を予定しておりますが、コロナ禍により派遣できない場合は、受入校であるメルローズハイスクールとインターネットを活用した交流事業について検討してまいりたいと考えております。
むすびに
以上、令和3年度教育行政執行に当たっての基本方針を述べさせていただきました。
変化の激しい時代を生きる子供たちを、自らの可能性を発揮し豊かな人生を切り拓くことのできる人材に育んでいくことが重要であります。
教育委員会といたしましては、町民の皆さんが生き生きと学び続けることができるよう支援するとともに、子供たちの意欲や能力を引き出し、個性豊かでたくましく育てるため、学校・家庭・地域をつなぐ教育行政の推進に全力で取り組んでまいる所存であります。
議員の皆さん並びに町民の皆さんのご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、教育行政執行方針といたします。
幕別町教育委員会 学校教育課
〒089-0604 北海道中川郡幕別町錦町98番地
電話 0155-54-2006 / FAX 0155-54-4714
(土日・祝日を除く平日の午前8時45分から午後5時30分まで〔12月29日から1月3日までを除く〕)
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